磯野家の暗黒時代





これはサザエさんの物語から7年が経過したころの話し・・・・

7年たって愉快な磯野家は崩壊の状態であった。



「ひどいよ、姉さん」
この口癖が有名なカツオも現在は18歳。
高校を中退していなければ、3年生になっているはずだった。
彼はある事件をきっかけに学校を辞め、家に引き篭っていた。

カツオは高校へ入学すると1年生で野球部のレギュラーとなった。
小学生の頃は少し野球が上手な程度でしかなかった。
だが、高校で彼の才能は大きく開花した。
バッティングでは面白いようにヒットを量産。
また守備ではファインプレー。
おまけに足まで速く、野球部の盗塁王でもあった。

だが、彼の才能を潰す出来事が発生する・・
その出来事とは、彼が学校を辞める原因のことである。

きっかけは、彼の父親、波平である。
カツオが中心選手となった時期に、彼の父、波平が幼女誘拐を犯したのだ
この事件は世間を騒がせた。

この事件をきっかけに、カツオは大人を信じられなくなった。
今まで厳格で頑固ではあったが、
曲がったことが嫌いで、誠実だと波平のことを思っていた。
また、波平のことを尊敬もしていた。
だが、本当の彼の父親は違っていた。
裏の顔を知ったのだ。

そして、この事件の影響を受けたのはカツオだけではなかった。
ワカメは、ショックから家を飛び出し、16才の年齢でお水の世界に入った。
いくらなんでも16才でお水の世界は無理だと思われるが。
当時、ワカメは同年代の女の子にくらべ発育が早く
18才と偽り働いたのだ。

このような状況であるから、磯野家は荒れた。
サザエは「愉快なサザエさん」という親しみを込めた呼び名から
「幼女誘拐犯の娘」と陰でささやかれた。

ご近所の見えない重圧から逃避するために、
サザエは軽い気持ちで出会い系サイトにアクセスする。
だが、これが磯野家崩壊への序章であった。

サザエが、いつものように軽い気持ちで出会いサイトで
メール交換をして、ささやかな楽しみを得ていた。
だが、あるとき夕食のおかずを買いに、八百屋に出かけたときに事件は起きた。
このときにすでに、家庭崩壊への扉が開きかけていたのだ。

「ただいま」
いつもよりも早くマスオが帰宅する。
テレビでも見ようかと、マスオが居間に向かったとき
ブルブルとなにかが振動する音が鳴り出した。
サザエの携帯電話である。
たまたまサザエは携帯を家に忘れて、出かけたのだ。

以前よりマスオは、サザエの携帯電話の着信履歴、発信履歴、メール、電話帳に興味をもっていた
そこで、こっそり彼はサザエの携帯電話の中身をのぞいた。。

「こ、これは・・・・!?」
マスオは驚いた。彼は空けてはならないパンドラの箱を空けてしまったのだ。
サザエの携帯のメールの履歴は、出会い系で知りあった、
ケンタという男性とのメールで埋められていた。
そのメールでは現在の家庭環境、近所からの重圧、マスオへの不満が書き込めれていた。
そして、ケンタという人物とは何度も会っており、交際をしているようであった。
おまけに、携帯電話の充電池の裏側には、
ケンタらしき男とのツーショットのプリクラが貼られていた。

「サザエ・・・君はどうして僕を裏切るんだ。こんなに愛しているのに・・」
マスオは、コブシを握りしめ、絶望を味わいながら立ちつくしていた。
ツツーと彼の目から涙がこぼれる。
マスオは怒りで体が震える。
しかし、この場にサザエはいない。もうただ泣くしかなかった。

「おう帰ったぜ!」
タイミング悪く、タラオが帰ってきた。
7年の歳月が経過し、
タラオは以前の素直でかわいいというイメージとはかけ離れていた。
小学4年生ながら、髪を染め、万引きの常習犯として
カゴメ小学校の問題児になっていたのだ。

「おい。誰かいねえのか?腹減ったからメシ作れや!!」
玄関で叫ぶタラオ。
そのうち靴をぬぎ、家に上がる。

「なんだ。オヤジ帰ってたのか?ちょうどいいや、金くれよ。ゲーセン行くからよ」
マスオが涙を流しながら、悔しがってる横で
鼻くそをほじりながら、タラオは金を要求した。

「・・・・・・」
マスオはただ、涙を流し立ち尽くしていた。

「あのよぉ。金出せって!ちょっとは持ってるだろ?」
「タラちゃん・・・・大事な話しがあるんだ」

静かに落ち着いた口調で、いや、何かを決意したような口調でマスオは口を開いた

「実は、サザエはママは他の男と浮気をしていたんだ・・・」

声は穏やかであるものの、目には涙をうかべているマスオ

「ふーん。あっそ。そんなことより金ねえの?」

タラオは別に何の反応もしない。
くっ・・・昔は素直で良い子だったのに何でこんなクソガキに育ったんだ?
とマスオは考えていた。


「あらあら、マスオさんどうかしたの?」
台所からフネが出てくる。
「目が真っ赤だけど、何かあったのかい?」
「お、お母さん、サザエが、サザエが浮気を・・・・・」
マスオは震えながら、これまでのことをフネに説明した。

「なるほど。それは大変だねえ。サザエもマスオさんも救済が必要だわ」
え?救済?とマスオが不思議に思ってると・・・
突然フネはあぐらをかいて、ジャンプしだした。
そして

「修行してます。修行してます。修行してます。修行してます・・・」
ジャンプしながらフネは叫び出した。

「な、何をしてるんですか?お母さん?」
驚いてマスオは尋ねる。

「こうしているとね全身に宇宙の”気”が集まってくるっていうのかしら? とにかくいいのよ」

目を輝かせながらフネは言う。
ポカーンとアホみたいに口をあけているマスオ

「やれやれ・・これじゃ金をもらうのは無理そうだな。仕方ねえ、イクラでもからかいに行くか」
そういうと、タラオはハーイバブーチャーンしか言えないイクラをからかいに玄関を出た。








続く・・・





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