勇者エビル11


「てめえみてえな小娘が俺様の運命を変えるだと!?・・・・ってここどこだよ」


気が付くと、俺はテントの中にいた。
そして外ではルユ、パナンがシチュー(カレーか?)を作っているようだ。

「おいおい、エビル、何わけのわかんねぇこと言ってるんだよ!?」

「エビルさん気が付いたんですね。」


そうか・・・あれは夢だったわけだ・・・いやあのリアルさは夢じゃねえ。
でもよ、なんで俺、テントの中にいるんだよ?確か一人で野宿していたはずだが。


「なぁ、なんで俺こんなとこにいるんだ?」

「けっ!てめえがグースカのん気に寝ていたところを拾ってやったんだぞ。
あの辺りは野犬が出るし危険な場所だからよ、だから感謝しろよ。」


そうか・・・親切にも俺様をテントまで運んでくれわってワケだな。グハハ。馬鹿な奴等だ。
これから俺様にぶち殺されるとも知らずに。
とにかくルユは危険だ。魔族だからいつ裏切るか分からねえ、信用が出来ない女だ。
なにより始末しねえと後々めんどくさいことになりそうだ。
パナンはうざいからついでに殺す。
俺は俺よりモテル男を許せねえんだ。

だがその前に魔族について色々情報をもらわねえとな。

「エビル様!」

ふいに俺を呼ぶ声が聞こえた。


「あん?おいルユ、呼んだか?」

「???呼んでませんけど」


空耳か?いや今の声はどこかで聞いたことがあるな・・・・
うーむ、聞き覚えがあるんだが思い出せねえ。
けどま、思い出せねえってことは大したことでもねえんだろ!?

「私だよ、ルーユ!!昨日の夢、会ったでしょ?もう忘れたの?」

「お前か、どっから話してるんだよ、なんか声が頭の中から聞こえて来るんだが」

「テレパシーって魔法使ってるんだよ。でもエビル様の意識があるうちに連絡をとるのはかなり難しい魔法だし、疲れちゃうんだけどね」

「やはり夢じゃなかったか。で、お前はどこにいるんだ?いやどこから魔法を使ってるんだよ?」

「うん。私は、キウーイ国に住んでるの。そこまで来てくれる?」

「いやだね。俺に会いたいならお前が来い。あとな、俺は金に困っているからな、金も持ってこい。」

「・・・やっぱり思ったとおりの人だね、エビル様って。そんなドライなとこ嫌いじゃないよ。でもどうしてもこの部屋から出ることができないの。お願い、会いに来て」

「わがままな女だな。」


とはいえ、キウーイ国といえば俺たちが向かっている目的地だ。
この女に会いに行くのもついでといえばそうだが。

「仕方ねえ。会いに行ってやる。だが十分な金とご馳走を用意しておけよ」

「うん。約束だよ。キウーイ国に着いたらまた連絡するから」


確かに怪しい女だ、だが、魔法に関しちゃてんで素人な俺の心強い味方になるかもしれんしな。
魔族、つまり魔法のスペシャリストたちは俺の分野じゃねえし、この女が信用できるかどうか分からないが、金縛りにして夢の中に入ってくることから、そうとうな魔法使いに違いないだろう。
おまけにこの俺に協力したがっているようだしな、それを利用しない手はない。

「・・・なぁ、エビル、さっきから独り言呟いているがどうした?いつもおかしいが今日は特に変だぞ?」

「うるせえ。てめえらみてえなボンクラと違って俺は繊細なんだよ。」


軽く飯を食った後、キウーイ国に向かったわけだ。ここから一番近い国だしよ、それに、強盗のしすぎでエグプラントじゃウォンテッドされてるからな、もう帰れねえ。




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