勇者エビル3






トクトクトク・・・
俺は持っている酒をコップに注ぎ、一気に飲み干した。
隣にいる頭のおかしい女を相手にしたことで疲れたからな。
酒でも飲むしかねえだろ。

「エビルさんまだ未成年でしょ?お酒は駄目ですよ」
ルユはそう言っているが、
その目は酒を欲しがっているようだ。
魔族でも酒飲むんだな。

「うるせえな。俺は小学校の時から飲んでるからいーんだよ。
あとな、こいつは俺の酒だからな。やらねえぞ」

「え・・・?くれないんですか・・」
ルユは心底ガッカリした表情をしたが、すぐにゴソゴソとバッグの中を探し出した。
そして一瓶の酒を取り出した。

「エビルさんがくれないなら、自分のお酒飲むからいいですよぉだ!」
と悪戯っぽく言うと、飲みだした。
うーむ。しかしこいつの持ってる酒って高級そうだな。
俺がいつも飲んでる酒って安物だしよ。

「おい。なんだその酒?美味そうだな。ちょっと俺にも飲ませろよ」

「駄目ですよ。これ私のなんだから。エビルさんは自分のお酒飲んだらいいじゃないですか」

「ケチケチすんなよ。人間は助け合って生けなきゃいけねえんだろ?な?」

「それはそうですけど。私は魔族ですから。」

けちな女だ。
ちょっとくらいくれたっていいじゃねえか。
俺だって酒あるし、もう頼まねえよ。
こうなったらルユ。てめえよりもたくさん酒を飲んでやる。
俺は一気に酒を飲み干すと、バッグの中からもう一本酒を取り出した。

「エビルさん。お酒強いんですね。よぉし。私も負けないで飲むぞぉ」

ルユはそう言うと俺と同じように一気に飲み干した。
こいつ、女のくせになかなかやるな。
だが、俺に酒で勝てるつもりか?

「け!俺は勇者だ。魔族ごときに負けるかよ」

俺達は狂ったように酒の飲み比べをした。
30分くらい経ったころには完全に2人とも出来上がっていた。

「きゃははは。エビルひゃん飲んでまひゅかぁ〜〜」

「うるへー。てめえ、ろれつが回っちぇねえじょ〜〜」

「エビルひゃんこそ〜〜アハハハ」

「お〜〜俺の酒、もう空っぽちゃねえかぁ〜〜」

「わたし〜、お酒もってますよぉ〜飲みますぅ〜?」

「当たり前だ〜。飲むに決まってるだろ〜〜がぁ〜」

俺はルユのバッグをガサガサ探すと、
酒のようの小瓶を発見した。
なんだこりゃ?
酒だよなぁ。ちょっと小さいが、なんでもいっかぁ
ポンとその小瓶を開けて、コップに注ぐ。
なんだぁ?酒の色が変だな
宝石みたいに光ってるが・・
酒・・だよな?

「あ〜〜それは飲んじゃだめです〜〜!!」
ルユが驚いて叫んだ。

「なんでだ?いいじゃねえか。」

「それはお酒じゃないんですよ。私の魔力を維持する特殊な水でして。」

「ほう?じゃあ俺が飲んだら強力な魔法でも使えんのか?」

「ん〜人間が飲むと、魔力を持つって聞いたことありますが・・」

「そうか。んじゃ飲むかな」

へっへっへ。こいつを飲むと強力な魔法が使えるんだろ。
なら迷うことはねえ。
俺はゴクゴクゴクと飲んだ。
ふむ。味はなにもしねえな。

「エビルさん!!!なんてことを・・」

顔面蒼白になったルユ。
そうかわかったぞ。
あんまり俺が今飲んだのって、結構高級な水だったんだな。
グハハ。だがもう遅い。飲んじまったからな。
今更返すことなんてできねえよ

「悪いな。もう飲んじまった。おかげでおれは魔力を持ったんだろ?」

「・・・確かに魔力を持つことが出来ると思いますけど
・・ただ、薬の副作用に耐えることが出来らたらの話ですが・・・」

「副作用だぁ?なんだよ。それ」

「今の水は魔族のための水、魔続水というものなんです。
人間が飲んだら副作用で死んでしまいますよ。普通。。」

「お、おい。じゃあ俺死んじまうのか?」

「はい。残念ながら。」

ルユはそういうと荷物をまとめだした。

「ふざけんなよ。こんな簡単に死んでたまるかよ。」

「じゃ、エビルさん。短い間でしたが、お世話になりました。
あなたみたいな粗暴で子悪党な勇者なんて珍しかったし。
なんだかんだで楽しかったです。」

おいおい。まじか?

「だいたいてめえが、変な水飲ませるからだろ?何とかしろ」

「ごめんなさい・・私にはどうにも・・・って、あのう。エビルさん。何か変わったことないんですか?」

「は?変わったことってなんだよ」

「だから、普通、魔続水飲んだらすぐに発狂しちゃうって聞いてたんですけど」

「なんにもなってねえよ。」

うーんとルユは考え込むと、すぐさま分厚い本を取り出して調べ始めた。

「おかしいなー。やっぱりこの本にも人間が飲んだら死ぬって書いてあるしー」

なんだかわからんが助かったのか?
俺が勇者だからか?
わからんが、こいつの言ってることが全部デタラメだったのかもしれんしな。

「あ!あったあった。ここに小さく書いてありました。魔続水飲んでも
人間的に欠陥がある者、人格的に問題がある者については例外的に死ぬことはないって。
よかったですね。エビルさん。
人として欠陥だらけだったから助かったんですよ。」

「・・・いや、褒めてねえだろ?なんか納得がいかねえが。とりあえず死ぬことはねえんだな」

この日を境に俺の体に変化が起きた。












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