ジンロク大作戦







こんにちわ。ぼくはイササカ家の長男ジンロクです。
みなさんにお聞きしたいのですが、ボクはいつまで浪人生をしなければいけないのでしょうか?
いつまでたっても大学に入ることは無理なのでしょうか?

いつもこのことを考えます。
はぁ・・・毎日毎日予備校へ通って勉強。
これがメビウスのように永遠に繰り返されるのです。
ぼくは気が狂いそうです。
みなさんはどう思われますか?
決して大学に入ることが出来ないのに勉強をひたすらして・・・
拷問ですよ。これって。
あーあ。人生って、ぼくの人生ってなんなんだろうなぁ・・・
どう考えてもぼくの学力で大学目指すこと自体間違ってるんじゃないかって最近思えました。

「ジンロク。勉強はしているか?」
突然部屋のドアが開かれると、父さんが(イササカ先生)現れた。
どうでもいいけどノックくらいしてほしいな。

ジンロク「・・・してるよ。それより父さん話があるんだ。」
イササカ「なんだ?」
ジンロク「ぼくっていつまで浪人生しないといけないの?」
イササカ「何をいってる?大学に入学するまでに決まっているだろう」

ち!馬鹿親父め。
俺の学力じゃ入れる大学なんてねえんだよ。

ジンロク「最近思うんだ。
小学生並みの学力しか持ってないのに大学に入ることなんて無理なんじゃないかって・・」
イササカ「・・・・わかった。そこまで言うのなら、もう浪人生を辞めたらどうだ?」

は?どういう意味だ。
浪人生を辞める??

ジンロク「どういう意味?」
イササカ「わしもな、お前の低脳な頭で入れる大学など存在するとは思ってはおらん。
ただな。馬鹿も馬鹿なりに頑張れば、奇跡も起こるのではないかと思ったのだが・・・
だが・・・大人になったな。
人生においてどうしても無理なこと。不可能なことが一つや二つあるものだ。
それが分かっただけ、ジンロク。お前は成長したんじゃないか」

父さん。
僕のことをそんなに考えてくれてたんだね。
うれしいよ。
なんかちょっと気になる言葉もあるけど。

イササカ「そうだ。ジンロク。お前小説を書いてみんか?」
ジンロク「小説?僕に書けるかなぁ・・」
イササカ「お前はわしの息子だ。試しに書いてみなさい」

小説か・・
面白そうだな。
出版社へのコネも父さん持ってるし。
ちょっと頑張ってみるか。

ジンロク「うん。頑張ってみるよ」

こうして僕は小説を書いてみることにした。


うーん。何を書こうかなぁ。。
SF、推理小説、時代劇・・・色々あるけど
やっぱり恋愛小説にしよう。

主人公は・・うん。僕だ。
僕みたいな主人公にしよう。
名前もジンロクでいいや。

あとヒロインだけど。。。
どうしようかなぁ。そうだワカメちゃんみたいな小学生にしよう。
いや、実は僕ってロリコンなんですよ。
前々からワカメちゃんに恋してたんです。
だからー、僕と美少女小学生の恋愛にしよう。
あ、なんか。かなり読んでる人が引いてる気もするんだけど。
いいですか?恋愛に年齢なんて関係ないのです。

さーてキッパリといったところで。
ストーリーを考えるぞ。







それから時間が経って・・
さーて、出来たぞ。
僕の小説だ。
父さんに見せてみよう。

ジンロク「父さーん。小説が完成したよ」

僕は小説を見せるべく父さんの書斎に向かった。

イササカ「どれどれ、見せてみなさい」
小説を手渡した。



「愛のトレビアーノ」
作 :イササカ ジンロク

主人公の名はジンロクだ。
彼は超カッコいい。そして知的でストイックだ。
だからいつもいつもモテモテ。
みんな彼のファンだ。
そんな彼が歩いていると一人の美少女を見かけた。
その美少女から「結婚してください」って言われた。
彼女は小学生だけど、愛に国境はない。
そして2人は結婚した。
ジンロクは総理大臣になって国民栄誉賞とノーベル賞をとった。

おわり



イササカ「・・・・・・」

どうだ。僕の素敵な小説は。
まぁ初めて小説なんて書いたんだけど。
感動的な文章が作れるなんて。
やっぱり僕は小説家に向いてるのかなぁ。

イササカ「・・・ジンロク。お前、ここまで馬鹿・・・
いや、きっと心が疲れているのだろうな。可哀相に・・。」

なんだと?
この素晴らしい小説を書いた僕が可哀相だって?
・・・そうか。わかったぞ。
父さん、僕の才能を妬んでるんだな。
そうだ。もう少ししたらノリスケさんが原稿をとりに来るよね。
僕のこの自信作「愛のトレビアーノ」を見せてあげよう。
きっと感激するぞー。
これで僕も印税生活の小説家だー♪


「こんにちわー」

お。都合よくノリスケさんが来たな。

「ノリスケさーん。僕小説書いたんだ。見てくれないかなー」
僕は玄関にいるノリスケさんに声をかけた。

「こ、こらジンロク・・・」

お、なんか父さん慌ててるな。
無理もない。実の息子の文才に嫉妬してるんだもんね。
まったく我が親ながらなんて器の小さい男だろう。
そのくせお隣のフネさんとは不倫してるくせに。
器は小さいのに手だけは早いんだな。うわー最低だぜ

僕は階段を駆け下りると、ノリスケさんに小説を見せた。

ノリスケ「愛のトレビアーノ。ふむふむ。主人公はジンロクくんなんだね。ふむふむ・・・・・・」
イササカ「ノ、ノリスケくん!!読んではいかん。読んでは・・」

そういいながら父さんはノリスケさんの下に向かった。
へっへっへ。もう遅いよ。

ノリスケ「あの・・・ジンロクくんって受験のストレスでちょっと精神的に錯乱してるんですか?」
イササカ「その、なんだ。今見たのは忘れてくれたまえ。
ジンロクは精神的におかしくなっているから・・。」
ノリスケ「・・・・そうだったんですか。お気の毒に・・だけど先生の気持ちは分かります。
私も言語障害を持つ息子がいますから」
イササカ「そうだったね・・。」
ノリスケ「はい・・・僭越かもしれませんが、僕いい病院知ってますよ。」

まったく2人とも何をわけのわからないことはなしてるんだろう?
はぁ・・・ったく。あーつまんないな。テレビでも見るか。

僕がテレビを見ていると・・・
ピーポーピーポー。
家の前に救急車が止まった。

隣の波平さんでも倒れたのかもしれないなー
あんまりカツオくんを虐待してたから逆襲されたのかもしれないし。
別に磯野家なんてどうでもいいや。
毎日財布を忘れるサザエさんを筆頭に、奇人変人ばかり。
人外魔境がそろってるぜ。

「患者はここですか?」
なんかよくわからないけど、救急車は磯野家ではなく僕の家に用があるようだ。

イササカ「はい・・・昔からまさかまさかと思っていたのですが、とうとうイカれてしまったようで。」

おい何をするんだ??
いきなり 僕は救急隊員に腕を掴まれた。
は?なんで僕が連れて行かれるんだ???
別に体調が悪くなったわけでもないし・・・
というか何で救急車の色が黄色いんだよ?
普通白だろ。



それから僕は今、ベッドの上にいる。
隣の部屋にはイクラちゃんが入院しているようだ。
どうも言語障害の疑いがあるようでここで治療をしているということだ。

ここは精神病院。
廊下ではたまに奇声を発する怪しい男、狂ったように笑い続ける中年女をよく見かける。
個性豊かな人がここで生活しているのだ。
なんで僕がここにいるのか理解に苦しむ。











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