リカ様とお呼び!





ここは近所の公園。
現在は8月である。夏休みということでいつもより多くの子供が遊んでいた。
リカ「あ〜。なんかお腹すいたわね」
公園のベンチに座っている5歳くらいの女の子がそう言った。彼女の名前はリカ。
周りからは「リカちゃん」と呼ばれている。

タラオ「そ、そうですね。もうお昼だからご飯でも食べに行きましょうですぅ」
リカが暑くないようにさっきからウチワをあおいでいた3歳くらいの男の子が答えた。彼の名はタラオ。
周りからは「タラちゃん」と呼ばれている。
実はタラオはこのリカに惚れている。リカもタラオが惚れていることは気付いており、
二人の関係は 女王様と奴隷のようなものである。

イクラ「バブーチャーンハーイハーイ」
今度はタラオよりも小さな男の子が意味不明な言葉を発した。
彼の名はイクラ。イクラちゃんと呼ばれている。
 イクラはリカに日差しが当たらないように日傘をさしている。イクラもリカに惚れている。
つまりは3角関係ってことだね。

リカ「あら。イクラちゃんなあに?」
リカは不思議そうに聞いた。言葉をまだ話せないイクラの発する不可解な言葉が理解できなかったらしい。

タラオ「イクラちゃんは、僕たちを楽しませるために歩道橋から走っているトラックに向かってダイブすると言ってるんですぅ〜」
イクラ「あ〜ん?んなことしたらオレ死んじまうじゃねーか!アホかてめーは!?」
イクラはタラオの襟首をつかみ、目を血走らせながらツッコミを入れた。
・・・・・おや?言葉を話せないはずのイクラが今話したような。。。

リカ「イ、イクラちゃん話せるの?」
リカは驚いて聞いた。
イクラ「え?い、いやその・・・さ、さっきのは幻聴ッス!・・・ ハ、ハーイバブバブバーイチャーンチャーン!!」
あわてて また不可解な言葉を連発するイクラ。
リカ「そうね・・・多分幻聴よね」
首をかしげながらも納得するリカ。


タラオ「そうですよ。リカちゃん。イクラちゃんが話せるワケないですぅ。だってイクラちゃんは言語障害なんですから」
リカ「え?そうなのイクラちゃん!?」
「言語障害のワケねーだろ!?」とツッコミをしそうになったが、
なんとかこらえ、イクラは「バブバブー」といいながら否定した。


リカ「馬鹿ねえ。言語障害のワケないでしょ。それよりお昼を食べに行くわよ!
もちろんタラちゃんとイクラちゃんのおごりだからね!」
タラオ「はい。リカちゃん!もちろんですぅ!」
イクラ「ハーイハーイ」

タラオとイクラは情けない緩んだ顔をしながら返事をした。
もう2人はリカと食事をするだけで有頂天である。リカは実は5歳児にしてとんでもない浪費家であった。
ブランドのバッグや服、宝石が大好きである。また毎回豪華な食事を要求するのだ。

リカ「昨日のお昼は帝国ホテルのフランス料理だったし・・・今日は、フグ料理なんていいわねえ」
タラオ「フグですか!?」
イクラ「バ、バブー!?」
リカの言葉を聞いて2人は少しとまどった。

リカ「あら何よ?不満なワケ!?」
タラオ「あの、リカちゃん。そのたまにはロイヤルホストなんてどうかと・・・」
リカ「私にあんな庶民が行くようなファミレスで食べろというの?あ・・・そんなこと言うんだ・・・・」
リカは飽きれた顔をしながら、ため息をついた。

タラオ「リ、リカちゃん?」
リカ「もうタラちゃんとは縁を切るわね!それじゃイクラちゃん。フグを食べに行きましょう」
リカちゃんはそう言うと、イクラちゃんの手をつないで去っていこうとした。
イクラ「ハーイハーイ!」
棚からぼた餅だぜ!とイクラはもう大喜び。ライバルのタラオがいなくなったのだから。

タラオ「リカちゃんそんな・・・ここ1週間でフェラーリ、ポルシェなんかの自動車を6台貢いで、少し金欠なんですぅ!待ってください〜〜!
あ!イクラ・・・てめえ手なんてつないでるんじゃねえよ!おいコラ。←小声で」

リカはタラオを無視してどんどん進んで行く。
タラオは待ってください〜とかなり情けない顔をしてついてくる。
最初無視していたリカもタラオがあんまりしつこくついてくるので
リカ「あのねえタラちゃん。もうあんたは用済みなんだから失せなさい」
冷ややかな目でリカはそう言った。

タラオ「そ、そんな・・・・お願いですぅ。なんでも言うことを聞くから僕を捨てないでください〜!!」
リカ「そうねえ。そこまで頼むなら許してあげましょうか?」
タラオ「ほ、本当ですか!?」
リカ「ええ。本当よ。ねえタラちゃん。私 ハワイに別荘が欲しいんだけど」
タラオ「べ、別荘ですか!?」
リカ「あら、買ってくれないの?あ、そう・・・」
タラオ「か、買いますとも!リカちゃんのためなら喜んで買わせていただきます!!」
なんとかリカの機嫌が直り、安堵の表情を浮かべるタラオ。
 そのタラオに「やれやれ情けねーな!」と馬鹿にした顔をするイクラ。

(チッ!イクラの野郎・・・このオレを見下しやがって!!後でぶっ殺してやるぜ)
とタラオは心の中で思うのだが、相変わらずイクラはニヤニヤとしている。

リカ「さあ。早くフグを食べに行きましょう!」
タラオ「は、はい!行きましょうですぅ」
イクラ「ハーイ!」


お店に入ると、リカは1番高いコースを迷わず注文した。
まずはフグの刺身が、次にフグの唐揚げと、次々に料理が出てくる。

リカ「なかなか美味しいわね。ちょっとお手洗いに行ってくるわね」
そう言うと席を立った。
3,4分してリカが戻ってくると タラオ、イクラの二人の姿が消えていた。
リカが不思議がっていると、タラオが大きな鍋を持って現れた。

リカ「あら?タラちゃんそこにいたの?」
タラオ「今、鍋が出来たそうなんで取りに行ってたんですぅ」
リカはそんなの店員に運ばせればいいのにと思ったが、それよりイクラがいないのが気になっているようだ。
リカ「それよりイクラちゃんはどうしたの?」

タラオ「さあ。このお店の特製鍋ですぅ」
タラオは鍋のふたを開けた。
すると中からは、色々な野菜といっしょにイクラが入っていた。
ぐつぐつと鍋のお湯は沸騰している。どうやらイクラは気絶しているようである。

リカ「こ、これって・・・・!?」
タラオ「イクラちゃんのお肉って美味しそうですぅ。さぁリカちゃん遠慮なく食べるですぅ!」
リカ「食べれるワケないでしょ!!」
タラオ「え!?仕方ないですねえ。そんじゃ復活しないように とどめだけでも刺しときますぅ」

タラオは気絶しているイクラを容赦なく殴りつける。
何度も何度も殴る。
しかし、殴っているとイクラが目を覚ました。

イクラ「バ・・・バブゥ!?」
タラオ「ち!目を覚ましたましたか?でもこれでとどめですぅ」


バキィィ!!



タラオはイクラの息の根を止めようと、攻撃を仕掛けた
だが、その攻撃はイクラのカウンターにより無駄に終わった。

タラオ「ク、クロスカウンター!?」
イクラ「チャ、チャーン!!」
イクラの目は 「なめてんじゃねーよ」と語っているようだ。

リカ「はいはい!馬鹿なことしてないでそろそろお店を出ましょう!
私もうお腹いっぱいになったんだから!」
タラオ「ハ、ハイですぅ!」
イクラ「ハーイ!!」



3人は店を出た。
店を出たところで、偶然カツオくんに出会った。

タラオ「あ!カツオお兄ちゃんですぅ」
カツオ「やあ。タラちゃん」

カツオはどうやら野球をしていたらしく、バットとグローブを持っている。

カツオ「タラちゃん聞いてよ!今日、僕ね。ホームランを打っちゃったよ♪」
タラオ「え!そうですか。スゴイですぅ!!」

ふーん。あっそ と別に何も興味を持たなかったが、一応おだてておくか
と、タラちゃんは話しを合わせた。


カツオ「リカちゃん。久しぶりだね!」
リカ「ハ、ハイ」

リカは少し戸惑っている。
それもそのはず、リカはカツオに惚れているのだ。

カツオ「それじゃ、僕は先に帰ってるよ」
カツオは去っていった。

リカ「カツオお兄様っていつ見てもカッコイイわね・・・」
リカはそうつぶやいた。目はもちろんハートである。

そんなリカを見ていて 当然面白くない2人

タラオ「・・・・・おいイクラ」
イクラ「そうだな。殺るか?」
タラオ「殺るでしょ」

2人はそう言うと、カツオを狩りに走り出した。








お肉屋さん「いらっしゃい!いらっしゃい!」
タラオ「こんにちわですぅ」
イクラ「ハーイ♪」
お肉屋さん「おや?タラちゃんにイクラちゃん。今日はどうしたんだい?お買い物かな」
タラオ「いいえ。違うですぅ。実は・・・・」


タラオは瀕死で死にかけているカツオを肉屋の前に差し出すと

タラオ「この肉を買って欲しいんですぅ♪」
お肉屋さん「こ、これってカツオくんじゃないか!しかも死にかけてるし!?」
タラオ「まだ生きてるから、お肉にするときっと美味しいですぅ!高く買ってください♪」




結局、カツオは売れなかったものの タラオとイクラの間にはちょっとした友情が生まれた。




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